手打ちそば民宿三右ヱ門@静岡市葵区
予約しても行きたい山菜と蕎麦の名民宿! 三右ヱ門
日本には四季があります。それぞれの季節に旬の食べ物があるのは当たり前のことですが、これはとてもありがたいことなのかもしれません。春真っ盛りの今は山菜が旬を迎えています。野山に自生する山菜は、普段食べている野菜とは一味も二味も違う野生の旨味にあふれています。そんな山菜を気軽にお値打ちに、そして満足感いっぱいに楽しめるのが民宿三右ヱ門です。

こちらの民宿は葵区の大川地区にあります。その昔は安倍郡の大川村だった山間の山里です。市街地からはクルマで1時間弱で到着します。遠方の方は、開通したばかりの新東名の静岡SAのスマートインターが便利です。とはいえ、途中にはすれ違いが困難な場所もあるので注意が必要です。またバスもあるので、クルマでなくても問題ありません。
山里の民宿というと、古民家をイメージしますが、三右ヱ門もまさにそのイメージ通りのものです。なんせ出来てから100年を超えるもので、食事処となる畳の部屋から見上げる梁や天井、床の間など歴史と年輪を感じさせてくれます。さらに縁側から見える緑とテーブル代わりに置かれている囲炉裏兼用の長火鉢がのんびりほっこりとさてせてくれます。「親戚のおばあちゃん家に来たみたい」というフレーズを思い出させる雰囲気です。

市街地と山里の違いに、気候があります。春爛漫の時期に訪れたものの標高が高いのかけっこう冷えます。ストーブとともにテーブル代わりの長火鉢が重宝します。今では見ることもなくなった火鉢ですが、これは囲炉裏兼BBQグリルとして使われる便利ものです。暖もとれるし素材を焼いて楽しむこともできる、まさしく先人の知恵ってやつですね。
さて、テーブルにあらかじめたくさんの料理が並んでいました。籠の中には椎茸、さつま芋、お餅、里芋、菊芋が入っています。これを網で焼いて塩で食べるって寸法です。もちろん炭火焼きですし、野菜は自家製ですよ。

もうひとつの大きなざるにはたくさんの天ぷら(一番上の写真)がのっています。一番の目当てであった山菜のオンパレードです。女将さんがひとつひとつ説明してくれるのですが、種類が多すぎて覚えておりません。うろ覚えですが、有名どころでは、タラの芽にヨモギ、ワラビ、ツクシ、コゴミ、ノビルあたりでしょうか。あと印象に残っているのが「酒屋の娘」と呼ばれるもので、これは普通はコシアブラと呼ばれていて、タラの芽よりもおいしいと最近では評判になっている山菜の王様です。
天ぷらは揚げたてが一番おいしいのは確かなのですが、ご夫婦ふたりでなにからなにまでやっているので、このような揚げてあるものを出すということになっていると思いますが、ここでも炭火焼が大活躍してくれました。揚げたてまでとはいきませんが、塩梅よく焼く、温めることによっておいしく食べることができました。

それにしても山菜の天ぷらは苦みがあったり、程よいえぐみがあったりと、並の野菜とは違う旨さ、力強さがありますね。塩で食べても天つゆで食べてもいけちゃいます。あとヤーコンとかさつま芋、しいたけなどの野菜類もあってこれだけでもここまでやってきた甲斐があるってもんです。
これらの炭火焼の箸休めとして楽しめたのが小鉢の数々です。ワサビの茎漬け、ブロッコリーの胡麻汚し、菊芋の漬物、自家製こんにゃくの煮物など味付けも上品でやさしくホッとさせてくれます。派手さはないものの、これらの何気ないおふくろの味、おばんざいがおいしいとトータルの満足度がさらにアップするっていうものですね。

これらの大満足のおかずを受け止めるのは玄米を混ぜたご飯に手打ち蕎麦です。蕎麦は普通盛りでも大盛りでも好きなだけ食べることができます。とはいえ、男性でも大盛りはきついくらいかと思います。ここの盛りの良さは街場の蕎麦屋とは比べられないものがありますからね。

とはいえ、旦那さん担当の手打ち蕎麦は街場で蕎麦屋を開業しても大丈夫なほどの腕前だと思いました。北海道産の蕎麦粉を丁寧に打ったもので、香りものど越しもなかなかのものです。なにより上等な本わさびを鮫皮ですりおろしたものが引き締めてくれます。蕎麦にわさびと塩をつけて食べるとより一層蕎麦の味わいが増すように思います。

それから蕎麦の合いの手には残していた天ぷらを入れた天そばもなかなかのものです。蕎麦汁はもう少し鰹が効いた辛めの濃いめが好みですが、それは贅沢な望みというものかもしれません。たっぷりな蕎麦とおいしいワサビ、苦みの効いた山菜・・・、まさに山里の春の旬を一度に味わう幸福といえます。
ここまででお腹いっぱいになりましたが、別腹の人にはおはぎまで用意されています。蕎麦湯でも自家製のお茶でも一緒に愉しむことができます。以上、山里の春を食べ尽くすランチコースですが、お値段はなんと1500円なんです。普通では考えられないほどのお値打ちさだと思います。

で、値段以上にうれしいのが切り盛りしているご夫婦のサービス、心配りなんです。マニュアル化された丁寧なサービスとは全く違う心からもてなそう、街の人に喜んでもらおう、山里のおいしいものを知ってもらおうという心配り、気遣いが嫌味なく自然と伝わってくるんですね。一度訪ねると多くの人がリピーターになるというのも納得できる心地よさがありました。もちろん我が家でも季節ごとに訪ねてみたいお店になりました。
と、こちらの民宿は泊ることもお昼だけでも良いのですが、席数に限りがあるので事前に予約が必須です。これからの季節はまさに山菜が一年で一番採れる時期になります。気持ち良い山里の大自然の中で、のんびりと心温まる料理を楽しに行ってみてはどうでしょうか。
手打ちそば民宿 三右ヱ門
静岡市葵区日向718(大川郵便局近く)
054-291-2515 営業は予約制です。1週間前ほど前までがベターです
日本には四季があります。それぞれの季節に旬の食べ物があるのは当たり前のことですが、これはとてもありがたいことなのかもしれません。春真っ盛りの今は山菜が旬を迎えています。野山に自生する山菜は、普段食べている野菜とは一味も二味も違う野生の旨味にあふれています。そんな山菜を気軽にお値打ちに、そして満足感いっぱいに楽しめるのが民宿三右ヱ門です。

こちらの民宿は葵区の大川地区にあります。その昔は安倍郡の大川村だった山間の山里です。市街地からはクルマで1時間弱で到着します。遠方の方は、開通したばかりの新東名の静岡SAのスマートインターが便利です。とはいえ、途中にはすれ違いが困難な場所もあるので注意が必要です。またバスもあるので、クルマでなくても問題ありません。
山里の民宿というと、古民家をイメージしますが、三右ヱ門もまさにそのイメージ通りのものです。なんせ出来てから100年を超えるもので、食事処となる畳の部屋から見上げる梁や天井、床の間など歴史と年輪を感じさせてくれます。さらに縁側から見える緑とテーブル代わりに置かれている囲炉裏兼用の長火鉢がのんびりほっこりとさてせてくれます。「親戚のおばあちゃん家に来たみたい」というフレーズを思い出させる雰囲気です。

市街地と山里の違いに、気候があります。春爛漫の時期に訪れたものの標高が高いのかけっこう冷えます。ストーブとともにテーブル代わりの長火鉢が重宝します。今では見ることもなくなった火鉢ですが、これは囲炉裏兼BBQグリルとして使われる便利ものです。暖もとれるし素材を焼いて楽しむこともできる、まさしく先人の知恵ってやつですね。
さて、テーブルにあらかじめたくさんの料理が並んでいました。籠の中には椎茸、さつま芋、お餅、里芋、菊芋が入っています。これを網で焼いて塩で食べるって寸法です。もちろん炭火焼きですし、野菜は自家製ですよ。

もうひとつの大きなざるにはたくさんの天ぷら(一番上の写真)がのっています。一番の目当てであった山菜のオンパレードです。女将さんがひとつひとつ説明してくれるのですが、種類が多すぎて覚えておりません。うろ覚えですが、有名どころでは、タラの芽にヨモギ、ワラビ、ツクシ、コゴミ、ノビルあたりでしょうか。あと印象に残っているのが「酒屋の娘」と呼ばれるもので、これは普通はコシアブラと呼ばれていて、タラの芽よりもおいしいと最近では評判になっている山菜の王様です。
天ぷらは揚げたてが一番おいしいのは確かなのですが、ご夫婦ふたりでなにからなにまでやっているので、このような揚げてあるものを出すということになっていると思いますが、ここでも炭火焼が大活躍してくれました。揚げたてまでとはいきませんが、塩梅よく焼く、温めることによっておいしく食べることができました。

それにしても山菜の天ぷらは苦みがあったり、程よいえぐみがあったりと、並の野菜とは違う旨さ、力強さがありますね。塩で食べても天つゆで食べてもいけちゃいます。あとヤーコンとかさつま芋、しいたけなどの野菜類もあってこれだけでもここまでやってきた甲斐があるってもんです。
これらの炭火焼の箸休めとして楽しめたのが小鉢の数々です。ワサビの茎漬け、ブロッコリーの胡麻汚し、菊芋の漬物、自家製こんにゃくの煮物など味付けも上品でやさしくホッとさせてくれます。派手さはないものの、これらの何気ないおふくろの味、おばんざいがおいしいとトータルの満足度がさらにアップするっていうものですね。

これらの大満足のおかずを受け止めるのは玄米を混ぜたご飯に手打ち蕎麦です。蕎麦は普通盛りでも大盛りでも好きなだけ食べることができます。とはいえ、男性でも大盛りはきついくらいかと思います。ここの盛りの良さは街場の蕎麦屋とは比べられないものがありますからね。

とはいえ、旦那さん担当の手打ち蕎麦は街場で蕎麦屋を開業しても大丈夫なほどの腕前だと思いました。北海道産の蕎麦粉を丁寧に打ったもので、香りものど越しもなかなかのものです。なにより上等な本わさびを鮫皮ですりおろしたものが引き締めてくれます。蕎麦にわさびと塩をつけて食べるとより一層蕎麦の味わいが増すように思います。

それから蕎麦の合いの手には残していた天ぷらを入れた天そばもなかなかのものです。蕎麦汁はもう少し鰹が効いた辛めの濃いめが好みですが、それは贅沢な望みというものかもしれません。たっぷりな蕎麦とおいしいワサビ、苦みの効いた山菜・・・、まさに山里の春の旬を一度に味わう幸福といえます。
ここまででお腹いっぱいになりましたが、別腹の人にはおはぎまで用意されています。蕎麦湯でも自家製のお茶でも一緒に愉しむことができます。以上、山里の春を食べ尽くすランチコースですが、お値段はなんと1500円なんです。普通では考えられないほどのお値打ちさだと思います。

で、値段以上にうれしいのが切り盛りしているご夫婦のサービス、心配りなんです。マニュアル化された丁寧なサービスとは全く違う心からもてなそう、街の人に喜んでもらおう、山里のおいしいものを知ってもらおうという心配り、気遣いが嫌味なく自然と伝わってくるんですね。一度訪ねると多くの人がリピーターになるというのも納得できる心地よさがありました。もちろん我が家でも季節ごとに訪ねてみたいお店になりました。
と、こちらの民宿は泊ることもお昼だけでも良いのですが、席数に限りがあるので事前に予約が必須です。これからの季節はまさに山菜が一年で一番採れる時期になります。気持ち良い山里の大自然の中で、のんびりと心温まる料理を楽しに行ってみてはどうでしょうか。
手打ちそば民宿 三右ヱ門
静岡市葵区日向718(大川郵便局近く)
054-291-2515 営業は予約制です。1週間前ほど前までがベターです
あさ乃@静岡市清水区
家族経営のほっこりできるお蕎麦屋! あさ乃
個人商店、個人飲食店の基本は家族経営と思っています。しかも自宅と店舗が一緒になった場所で、昔から営業しているようなお店が好きです。派手さも宣伝もないけどご近所さんやご贔屓さんに愛されているようなお店ならなおさらです。そんなお店を清水区の住宅街で発見しました。蕎麦屋のあさ乃です。

こちらのお店はネットやメディアではあまり出てきません。が、おいしさと手頃の値段、なにより温かみのあるサービスで人気があります。ランチ時などは満員御礼になることも多いようです。最初に訪れたきっかけは、大好きな蕎麦屋のラーメンを食べるためでした。
蕎麦屋のラーメンを出す店は静岡県に限らずけっこうあります。大衆的な昔ながらのお店では蕎麦よりもラーメンの方が人気を博す有名店もあります。ラーメン専門店がこれだけある現代でも根強い人気があるのもそれなりの理由があるからだと思います。

さて、こちらのお店のラーメンについてはひとつのエピソードがあります。2年ほど前に改装した時に中華そばを止めて本格的な手打ち蕎麦を中心としたメニュー構成にしたところ、昔からのご贔屓さんから「ラーメンは止めっちゃったの?」との惜しむ声が多数あり、復活した人気の一品なんですね。メニューにもイチオシメニューとして載っています。
蕎麦屋のラーメンが好きな私も、こちらのお店のラーメンの人気の理由がわかるような気がしました。たっぷりのアツアツのスープに泳ぐちょっと縮れたた細めの麺。具は肉厚のチャーシューが2枚に海苔、ネギにシナチク、そして良質のかまぼこです。これで580円はお手頃といっていいと思います。

味についてもイメージされる蕎麦屋のラーメンの鰹節とかえしのちょっと甘目のスープとは違い、専門店顔負けの煮干しや鶏ガラのしっかりと効いた本格的なもので、独特の香りが特徴です。最近流行のガツンとくる脂や魚系や獣系のベースのものとは違うまろやかなまとまりのあるものは、老若男女誰もがホッとできる味だと思います。
このラーメンが気に入って次の訪問はランチサービスがあるお昼に伺いました。12時前でしたが、次から次へとお客さんがやってきて満員御礼となりました。お店は今時の蕎麦屋と比べるとこじんまりとしていますので、早めの訪問がおすすめです。なお店内は小上がりが2つ、テーブル1つ、カウンターに4席ほどしかありません。これからの季節はテラスで食べることも可能です。

この日の目的は、日替わりサービスと一品から頼むことができる天ぷらを楽しむことです。日替わりは880円で、日替わりのちょっとしたおかず2品とご飯にラーメンかおそばのどちらかを選ぶことができます。その他には天丼やカツ丼などとラーメンかそばのセットもあります。今日はせいろでお願いしました。

もうひとつの注目の天ぷらは、盛り合わせもありますが、うれしいことにひとつから揚げてくれるんです。セルフ式のお店ではよくあるシステムですが、こちらのようなフルサービスのお店では珍しいのではないでしょうか。値段もアスパラや茄子、かぼちゃなどの野菜類が100円、桜海老のかき揚げが200円と手頃です。お腹の具合で好きなものを食べることが可能なのは大きな魅力だと思います。盛り合わせだと自分の嫌いな種が来ることがありますからね。

この日は桜海老のかき揚げと舞茸をお願いしました。値段が値段だけにボリュームを心配したのですが、杞憂に終わりました。けっこうな大きさがあります。揚げ方もサクッときれいに揚がっておりますし、衣も必要以上に厚くありません。味については桜海老は値段もあってか桜海老の含有量?が少な目で風味や香りの点でマイナスでしたが、舞茸はなかなかのものでした。天つゆにたっぷりと漬けて天丼風にした楽しんだり、塩で食感を楽しむことができるのは良いものですね。
もうひとつの蕎麦はどうででしょうか。こちらの若旦那は静岡市では一番の有名店であり、多くの独立店を輩出しているお店で修行したということです。果たして、蕎麦の命ともえいえる風味、香りはちょっと弱めながらのどごしは忠実に守られていると思いました。

細めでキリッとした蕎麦は好みのものです。二八くらいの割合だと思いますが、丁寧に打たれているのがわかります。それに対して蕎麦つゆはあっさりとしたもので、江戸前のキリリと辛い鰹節が効いたものが好きな私には少々物足りなく感じましたが、そのような人は少数派なんだと思います。なにより本わさびが出てきて好きなだけ摺ることができるので、わさびと塩で楽しむことができるのが良いですね。
お蕎麦と一緒に出されるおかずはだしまき玉子にひじきの煮物といったおふくろの味的なものでしたが、箸休めにはぴったりでした。それからデザートには自家製の羊羹が出てきました。これはラーメンの時にも出てきたものですが、粒餡が嫌いな人でも食べることができるくらいあっさりとしたものながら小豆の旨さが閉じ込められています。軽めの食感と仕上がりは〆の一品としてはなかなかのものだと思いました。ちょっとした心遣いなんでしょうが、このようなことでイメージってアップするんですよね。

と、2回の訪問ですが、こちらのお店の良さが少なからずわかったような気がします。蕎麦だけの専門店と出前をやっているような大衆的な蕎麦屋の中間のようなお店だと思います。アットホームなサービス、ラーメンと蕎麦、うどん、丼物が揃うメニューの幅広さ、手頃な値段、改装されたきれいな内装といった使い勝手の良さが光る知る人ぞ知るお店だと思います。

特に蕎麦屋のラーメンが好きな人、あれもこれも食べたい欲張りな人、お子さんやお年寄りなど幅広い年齢層がいる方などにおすすめしたいですね。蕎麦道を追及するような人、コッテリラーメン派の方には不満は残るかもしれませんが、清水区内で手頃でおいしい蕎麦屋を探していた方には一度訪ねてみても損はないかと思います。
手打ち蕎麦、うどん、丼のあさ乃
静岡市清水区西久保176-33(袖師中学校近く)
054-366-1289 11:00〜14:00 17:00〜21:00
木曜日休み
個人商店、個人飲食店の基本は家族経営と思っています。しかも自宅と店舗が一緒になった場所で、昔から営業しているようなお店が好きです。派手さも宣伝もないけどご近所さんやご贔屓さんに愛されているようなお店ならなおさらです。そんなお店を清水区の住宅街で発見しました。蕎麦屋のあさ乃です。

こちらのお店はネットやメディアではあまり出てきません。が、おいしさと手頃の値段、なにより温かみのあるサービスで人気があります。ランチ時などは満員御礼になることも多いようです。最初に訪れたきっかけは、大好きな蕎麦屋のラーメンを食べるためでした。
蕎麦屋のラーメンを出す店は静岡県に限らずけっこうあります。大衆的な昔ながらのお店では蕎麦よりもラーメンの方が人気を博す有名店もあります。ラーメン専門店がこれだけある現代でも根強い人気があるのもそれなりの理由があるからだと思います。

さて、こちらのお店のラーメンについてはひとつのエピソードがあります。2年ほど前に改装した時に中華そばを止めて本格的な手打ち蕎麦を中心としたメニュー構成にしたところ、昔からのご贔屓さんから「ラーメンは止めっちゃったの?」との惜しむ声が多数あり、復活した人気の一品なんですね。メニューにもイチオシメニューとして載っています。
蕎麦屋のラーメンが好きな私も、こちらのお店のラーメンの人気の理由がわかるような気がしました。たっぷりのアツアツのスープに泳ぐちょっと縮れたた細めの麺。具は肉厚のチャーシューが2枚に海苔、ネギにシナチク、そして良質のかまぼこです。これで580円はお手頃といっていいと思います。

味についてもイメージされる蕎麦屋のラーメンの鰹節とかえしのちょっと甘目のスープとは違い、専門店顔負けの煮干しや鶏ガラのしっかりと効いた本格的なもので、独特の香りが特徴です。最近流行のガツンとくる脂や魚系や獣系のベースのものとは違うまろやかなまとまりのあるものは、老若男女誰もがホッとできる味だと思います。
このラーメンが気に入って次の訪問はランチサービスがあるお昼に伺いました。12時前でしたが、次から次へとお客さんがやってきて満員御礼となりました。お店は今時の蕎麦屋と比べるとこじんまりとしていますので、早めの訪問がおすすめです。なお店内は小上がりが2つ、テーブル1つ、カウンターに4席ほどしかありません。これからの季節はテラスで食べることも可能です。

この日の目的は、日替わりサービスと一品から頼むことができる天ぷらを楽しむことです。日替わりは880円で、日替わりのちょっとしたおかず2品とご飯にラーメンかおそばのどちらかを選ぶことができます。その他には天丼やカツ丼などとラーメンかそばのセットもあります。今日はせいろでお願いしました。

もうひとつの注目の天ぷらは、盛り合わせもありますが、うれしいことにひとつから揚げてくれるんです。セルフ式のお店ではよくあるシステムですが、こちらのようなフルサービスのお店では珍しいのではないでしょうか。値段もアスパラや茄子、かぼちゃなどの野菜類が100円、桜海老のかき揚げが200円と手頃です。お腹の具合で好きなものを食べることが可能なのは大きな魅力だと思います。盛り合わせだと自分の嫌いな種が来ることがありますからね。

この日は桜海老のかき揚げと舞茸をお願いしました。値段が値段だけにボリュームを心配したのですが、杞憂に終わりました。けっこうな大きさがあります。揚げ方もサクッときれいに揚がっておりますし、衣も必要以上に厚くありません。味については桜海老は値段もあってか桜海老の含有量?が少な目で風味や香りの点でマイナスでしたが、舞茸はなかなかのものでした。天つゆにたっぷりと漬けて天丼風にした楽しんだり、塩で食感を楽しむことができるのは良いものですね。
もうひとつの蕎麦はどうででしょうか。こちらの若旦那は静岡市では一番の有名店であり、多くの独立店を輩出しているお店で修行したということです。果たして、蕎麦の命ともえいえる風味、香りはちょっと弱めながらのどごしは忠実に守られていると思いました。

細めでキリッとした蕎麦は好みのものです。二八くらいの割合だと思いますが、丁寧に打たれているのがわかります。それに対して蕎麦つゆはあっさりとしたもので、江戸前のキリリと辛い鰹節が効いたものが好きな私には少々物足りなく感じましたが、そのような人は少数派なんだと思います。なにより本わさびが出てきて好きなだけ摺ることができるので、わさびと塩で楽しむことができるのが良いですね。
お蕎麦と一緒に出されるおかずはだしまき玉子にひじきの煮物といったおふくろの味的なものでしたが、箸休めにはぴったりでした。それからデザートには自家製の羊羹が出てきました。これはラーメンの時にも出てきたものですが、粒餡が嫌いな人でも食べることができるくらいあっさりとしたものながら小豆の旨さが閉じ込められています。軽めの食感と仕上がりは〆の一品としてはなかなかのものだと思いました。ちょっとした心遣いなんでしょうが、このようなことでイメージってアップするんですよね。

と、2回の訪問ですが、こちらのお店の良さが少なからずわかったような気がします。蕎麦だけの専門店と出前をやっているような大衆的な蕎麦屋の中間のようなお店だと思います。アットホームなサービス、ラーメンと蕎麦、うどん、丼物が揃うメニューの幅広さ、手頃な値段、改装されたきれいな内装といった使い勝手の良さが光る知る人ぞ知るお店だと思います。

特に蕎麦屋のラーメンが好きな人、あれもこれも食べたい欲張りな人、お子さんやお年寄りなど幅広い年齢層がいる方などにおすすめしたいですね。蕎麦道を追及するような人、コッテリラーメン派の方には不満は残るかもしれませんが、清水区内で手頃でおいしい蕎麦屋を探していた方には一度訪ねてみても損はないかと思います。
手打ち蕎麦、うどん、丼のあさ乃
静岡市清水区西久保176-33(袖師中学校近く)
054-366-1289 11:00〜14:00 17:00〜21:00
木曜日休み
そばの実 一閑人@富士宮市
新進気鋭の蕎麦職人の成長を見届けよう! 一閑人
蕎麦屋でも寿司屋でもベテランや熟練職人が尊敬される傾向があります。この道何十年という完成された味わいも良いものですが、勢いのある若手職人の成長ぶりを何年にもわたって見守るというのもまた楽しいものです。今回紹介させてもらう富士宮市のそばの実 一閑人はまさしくそんなお店です。

こちらのお店は富士宮といっても朝霧高原、しかも旧道沿いの林の中にあります。本来は峠の茶屋という民宿なんですが、その一部を改装して本格派の手打ちそば屋として営業しています。店構えも店内も蕎麦屋らしい落ち着いた雰囲気にあふれています。しかもよくある民芸調でも古民家風でもない、明るくシックな佇まいなのは店主夫妻が若いということもあるかと思います。
蕎麦の好みは十人十色ですが、私の好みは繊細でいながら、蕎麦本来の風味や香りが愉しめる粗挽き系のものなんですが、こちらにはしっかりとメニューに載っているばかりか店の売りにもなっているのです。多くのお客さんがこれ目当てにくるので開店早々に訪れないと売り切れてしまいます。この日もギリギリセーフでした。

初めての訪問は、10割の生粉打ちと粗挽きをお願いしました。追加は粗挽きをお願いしました。こちらのお店は麺が伸びるのを嫌うため大盛りはありませんが、お代わりは400円というお手頃な値段で楽しむことができます。蕎麦好きにはこちらの方が助かると思います。
さて、粗挽き(一番上の写真)から頂くことにしましょう。店名にあるようなそばの実(玄そば)を鬼皮をついたまま粗いメッシュで挽いたもので、見事に星(粒々)が入ったワイルドさと、反比例する淡麗できれいに均一化された細さと長さ、エッジが立った切り口を見ただけでおいしそうだなと思わせるものがあります。

果たして、最初は塩をつけて食べてみるとストライクど真ん中の好みのものでした。キンッと冷やしてからよく水切されたものはパスタで言うアルデンテのコシがあります。普通なら硬いと思うほどの噛み応えがあります。その後は蕎麦の香りで風味がやってきて、粗挽き蕎麦を食べているんだなぁという幸福感に包まれます。蕎麦本来のワイルドさと職人技から生み出される繊細さの難しい両立の一瞬の愉しみが、お客さんを虜にする秘密なんでしょう。

もうひとつの生粉打ちはどうでしょうか。こちらは10割とはいうものの、打ち方、蕎麦粉の違いから粗挽きほどの荒々しさはありません。食べやすい反面、粗挽きを食べてしまうとつまらないと感じてしまいます。が、つけ汁との相性に関してはこちらの方がまとまりが良いかもしれません。噛みしめるより江戸蕎麦の本来の姿でもあるたツルッとたぐる方が良いと思いました。
そのつけ汁ですが、鰹節がしっかりキリリと効いた江戸風の定番の仕上がりです。返しもまろやかであり、蕎麦との相性も抜群です。静岡県の蕎麦屋、特に郊外のお店は甘かったり薄かったりすることがありますが、こちらのお店のものは大いに気に入りました。薬味もちゃんとしているのもポイント高いですね。

さらにうれしいことに〆のそば湯がトロットロッです。この濃さは県内でも有数、もしかしたら一番かもしれません。なんせ普通の茹で汁に蕎麦粉を混ぜて濃度を出しているんですから、蕎麦湯を入れるとおも湯状態になります。これも好みが分かれるところですが、濃い蕎麦湯が好きな私はここでもおおいに気に入りました。なお、このトロリとした蕎麦湯で割った焼酎はたまらないものがあるのだとか・・・。

と、普通の蕎麦屋ならこれで終わりなんですが、こちらのお店ではうれしいことに蕎麦だけの注文でも軽いデザートが出てきます。これはうれしいですね。この日は黒蜜をかけたふんわりとした牛乳豆腐で、〆としては十分すぎるものでした。クールダウンというか、おいしい蕎麦を堪能したあとの余韻を愉しむ仕掛けとしは良いですね。
と。一回目でおおいに気に入りましたので、しばらく経ってから夜に訪問することにしました。土日祝日の昼間は天ぷらがないので、それを楽しもうという寸法です。この日は念を入れて当日の昼に予約したのですが、店に一番乗りしてみると看板には予約で満員となっておりました。ここまできて門前払いでは洒落にはならなかったのでホッと胸をなでおろした次第です。

夜の時間は、照明もあってか、より落ち着いた雰囲気になっています。場所柄蕎麦前の料理でお酒を一杯というのには厳しいですが、日本酒、焼酎、ワインがしっかりと揃っているのでお酒好きなら下戸の人と一緒にいくか、タクシーで駆けつけるか、隣の民宿に泊まって撃沈するのがいいかと思います。それくらい魅力的な酒の肴というかちゃんとした料理が揃っています。
魅惑的なメニューを前におおいに迷いました。美人で気がきく若女将さんのアドバイスもあって、牛すじ肉のそば湯焚きと念願だった天ぷらの盛り合わせを蕎麦の前にお願いしました。蕎麦はもちろん粗挽きです。こちらの方は残り5枚でしたので一番乗りで正解でした。

最初にやってきたのは牛すじ肉の蕎麦湯焚きです。この料理はご主人の修行先の渋谷の晴山の看板料理を踏襲したもので、コラーゲンたっぷりの牛スジ肉を3日間かけて蕎麦湯で煮込んだものです。見た目もインパクトがありますが、食べてみても初めての経験となりました。
最初は薬味をつけずにそのまま食べてみます。牛スジ肉のとろけるような柔らかさとやさしい蕎麦湯の相性が良いのですが、やはり物足りません。そこで薬味の擦りたての香り豊かな山葵とダシ醤油、ピリ辛い肉味噌をちょっとづつ入れて食べることにします。

すると化けました。見事な料理に昇華しました。丁寧に下処理したスジ肉を蕎麦湯で焚くという蕎麦屋でしかできないような料理は一見キワモノと思ったのですが、このやり方で食べてみるとしっかりと計算尽くされた完成形があるように思いました。スジ肉の煮込み数々あれど、これはトロッとした煮込み系の肉料理好きな人はもちろんのことそれ以外の人にも一度食べてもらいたい料理だと思いました。リピート確定です。
蕎麦屋の料理の花形である天ぷらはどうでしょうか。こちらの店では、野菜天ぷら、海老天ぷら、それを合わせた盛り合わせ、蕎麦屋らしい天抜きがあります。この天抜きは、海老のかき揚げをテーブルの上で汁を掛けて愉しむ仕掛けとなっているようで、酒好きにはたまらないかもしれません。

さて天ぷらの盛り合わせですが、800円という値段を考えると頑張っていますし、揚げ方もネタも十分かと思いますが、蕎麦の出来栄えを考えるともう一歩と感じてしまいました。とはいってもちゃんと蕎麦と一緒に持ってきてくれて天ざる蕎麦として楽しむことができましたし、カレー塩もついてきたりと提供に仕方に関しては言うことありませんでした。
この日の粗挽き蕎麦も前回と同じようにおいしくいただくことができましたが、信州で衝撃的においしい蕎麦に出会ってしまったので一回目の訪問ほどの感激はありませんでしたが、レベルの高さと丁寧な打ち方は健在でした。このレベルの高さということは大師匠である柏竹やぶの伝統な技と心が生きているのだと思います。

もうひとつは温かい蕎麦を食べてみようということで、悩みに悩んで油かけ蕎麦をお願いしました。こちらのお店の温かいものは、かけに香りネギ蕎麦、たぬき、花巻などがありますが、オリジナリティさでは油かけそばに勝るものはないでしょう。店主曰く、これを出している蕎麦屋って他にはないかもしれないと言っていましたから。
この油かけ蕎麦ですが、ラーメンでお馴染みの豚の背脂をしっかりと油抜きして旨さだけを生かしたものです。見た目は丼いっぱいに広がった小豆大の背脂でくどさを予想するのですが、飲んでみると良質な豚を使っているのと丁寧な仕上げによって程よい脂の旨さと甘みを感じるとともに柚子と三つ葉のさわやかさがプラスしてかけ蕎麦の新しい一面を知ることができました。このような料理を食べてみると店主の良い意味での若さを感じることができました。

と、2回訪問したわけですが、好きな粗挽き蕎麦の完成度の高さ、料理のバラエティさとそれぞれの料理のクオリティの高さ、若いご夫婦2人のはつらつとしたサービスの良さ、店内のセンスの良さ・・・などなど不便な場所をハンディとしない魅力があると思いました。こだわりの手打ち蕎麦屋は昼だけの営業が多いだけにディナータイムもしっかりと営業しているのもいいですね。
それから、私としては蕎麦とともに各種の料理を一緒に楽しむのがこの店ではいいのかなと思っております。雄大な富士山と豊かな森、清冽な芝川の流れといった大自然の真ん中でのんびりと料理と蕎麦を愉しむのは都会の人でなくても素敵な休日になることと思います。

料理に関しては1週間前に予約するコース料理も気になりますし、メニューに載っている海老の味噌焼き、豚タンの桑焼、豚の丸煮など気になるものが目白押しです。蕎麦屋の料理というと簡単なものが多いですが、こちらでは手間暇かけたおいしそうな料理が多いので次はあれを食べようと思うんですよね。なお蕎麦屋の定番、鴨南蛮などの鴨肉に関しては気に入った鴨がまだ見つけていれないのでメニューにないということでした。

この静岡道楽手帖では粗挽き蕎麦の名店として富士市の蕎麦切りこばやし、藤枝市のながいけを紹介してきましたが、こちらのお店もそれに負けない粗挽き蕎麦を提供してくれるお店だと思います。さらにプラスアルファとして料理の魅力が加わるのですから、蕎麦好きには一度足を運んでもらいたいですね。ネットで検索すると蕎麦フリークの方々のブログや料理雑誌の蕎麦特集にはほとんど紹介されていないようですが、私の予想では徐々に多くの蕎麦好きの知る店になっていくと思います。出来てまだ2年と経っていない若いお店ですが、これからどう化けていくのか将来がおおいに楽しみでもあります。
そばの実 一閑人
富士宮市内野1551-42(田貫湖、西冨士カントリークラブ、まかいの牧場近く)
0544-54-0507 11:30〜14:00 17:00(17:30)〜21:30(詳しくはHPにて)
定休日 月曜の夜、火曜日
蕎麦屋でも寿司屋でもベテランや熟練職人が尊敬される傾向があります。この道何十年という完成された味わいも良いものですが、勢いのある若手職人の成長ぶりを何年にもわたって見守るというのもまた楽しいものです。今回紹介させてもらう富士宮市のそばの実 一閑人はまさしくそんなお店です。

こちらのお店は富士宮といっても朝霧高原、しかも旧道沿いの林の中にあります。本来は峠の茶屋という民宿なんですが、その一部を改装して本格派の手打ちそば屋として営業しています。店構えも店内も蕎麦屋らしい落ち着いた雰囲気にあふれています。しかもよくある民芸調でも古民家風でもない、明るくシックな佇まいなのは店主夫妻が若いということもあるかと思います。
蕎麦の好みは十人十色ですが、私の好みは繊細でいながら、蕎麦本来の風味や香りが愉しめる粗挽き系のものなんですが、こちらにはしっかりとメニューに載っているばかりか店の売りにもなっているのです。多くのお客さんがこれ目当てにくるので開店早々に訪れないと売り切れてしまいます。この日もギリギリセーフでした。

初めての訪問は、10割の生粉打ちと粗挽きをお願いしました。追加は粗挽きをお願いしました。こちらのお店は麺が伸びるのを嫌うため大盛りはありませんが、お代わりは400円というお手頃な値段で楽しむことができます。蕎麦好きにはこちらの方が助かると思います。
さて、粗挽き(一番上の写真)から頂くことにしましょう。店名にあるようなそばの実(玄そば)を鬼皮をついたまま粗いメッシュで挽いたもので、見事に星(粒々)が入ったワイルドさと、反比例する淡麗できれいに均一化された細さと長さ、エッジが立った切り口を見ただけでおいしそうだなと思わせるものがあります。

果たして、最初は塩をつけて食べてみるとストライクど真ん中の好みのものでした。キンッと冷やしてからよく水切されたものはパスタで言うアルデンテのコシがあります。普通なら硬いと思うほどの噛み応えがあります。その後は蕎麦の香りで風味がやってきて、粗挽き蕎麦を食べているんだなぁという幸福感に包まれます。蕎麦本来のワイルドさと職人技から生み出される繊細さの難しい両立の一瞬の愉しみが、お客さんを虜にする秘密なんでしょう。

もうひとつの生粉打ちはどうでしょうか。こちらは10割とはいうものの、打ち方、蕎麦粉の違いから粗挽きほどの荒々しさはありません。食べやすい反面、粗挽きを食べてしまうとつまらないと感じてしまいます。が、つけ汁との相性に関してはこちらの方がまとまりが良いかもしれません。噛みしめるより江戸蕎麦の本来の姿でもあるたツルッとたぐる方が良いと思いました。
そのつけ汁ですが、鰹節がしっかりキリリと効いた江戸風の定番の仕上がりです。返しもまろやかであり、蕎麦との相性も抜群です。静岡県の蕎麦屋、特に郊外のお店は甘かったり薄かったりすることがありますが、こちらのお店のものは大いに気に入りました。薬味もちゃんとしているのもポイント高いですね。

さらにうれしいことに〆のそば湯がトロットロッです。この濃さは県内でも有数、もしかしたら一番かもしれません。なんせ普通の茹で汁に蕎麦粉を混ぜて濃度を出しているんですから、蕎麦湯を入れるとおも湯状態になります。これも好みが分かれるところですが、濃い蕎麦湯が好きな私はここでもおおいに気に入りました。なお、このトロリとした蕎麦湯で割った焼酎はたまらないものがあるのだとか・・・。

と、普通の蕎麦屋ならこれで終わりなんですが、こちらのお店ではうれしいことに蕎麦だけの注文でも軽いデザートが出てきます。これはうれしいですね。この日は黒蜜をかけたふんわりとした牛乳豆腐で、〆としては十分すぎるものでした。クールダウンというか、おいしい蕎麦を堪能したあとの余韻を愉しむ仕掛けとしは良いですね。
と。一回目でおおいに気に入りましたので、しばらく経ってから夜に訪問することにしました。土日祝日の昼間は天ぷらがないので、それを楽しもうという寸法です。この日は念を入れて当日の昼に予約したのですが、店に一番乗りしてみると看板には予約で満員となっておりました。ここまできて門前払いでは洒落にはならなかったのでホッと胸をなでおろした次第です。

夜の時間は、照明もあってか、より落ち着いた雰囲気になっています。場所柄蕎麦前の料理でお酒を一杯というのには厳しいですが、日本酒、焼酎、ワインがしっかりと揃っているのでお酒好きなら下戸の人と一緒にいくか、タクシーで駆けつけるか、隣の民宿に泊まって撃沈するのがいいかと思います。それくらい魅力的な酒の肴というかちゃんとした料理が揃っています。
魅惑的なメニューを前におおいに迷いました。美人で気がきく若女将さんのアドバイスもあって、牛すじ肉のそば湯焚きと念願だった天ぷらの盛り合わせを蕎麦の前にお願いしました。蕎麦はもちろん粗挽きです。こちらの方は残り5枚でしたので一番乗りで正解でした。

最初にやってきたのは牛すじ肉の蕎麦湯焚きです。この料理はご主人の修行先の渋谷の晴山の看板料理を踏襲したもので、コラーゲンたっぷりの牛スジ肉を3日間かけて蕎麦湯で煮込んだものです。見た目もインパクトがありますが、食べてみても初めての経験となりました。
最初は薬味をつけずにそのまま食べてみます。牛スジ肉のとろけるような柔らかさとやさしい蕎麦湯の相性が良いのですが、やはり物足りません。そこで薬味の擦りたての香り豊かな山葵とダシ醤油、ピリ辛い肉味噌をちょっとづつ入れて食べることにします。

すると化けました。見事な料理に昇華しました。丁寧に下処理したスジ肉を蕎麦湯で焚くという蕎麦屋でしかできないような料理は一見キワモノと思ったのですが、このやり方で食べてみるとしっかりと計算尽くされた完成形があるように思いました。スジ肉の煮込み数々あれど、これはトロッとした煮込み系の肉料理好きな人はもちろんのことそれ以外の人にも一度食べてもらいたい料理だと思いました。リピート確定です。
蕎麦屋の料理の花形である天ぷらはどうでしょうか。こちらの店では、野菜天ぷら、海老天ぷら、それを合わせた盛り合わせ、蕎麦屋らしい天抜きがあります。この天抜きは、海老のかき揚げをテーブルの上で汁を掛けて愉しむ仕掛けとなっているようで、酒好きにはたまらないかもしれません。

さて天ぷらの盛り合わせですが、800円という値段を考えると頑張っていますし、揚げ方もネタも十分かと思いますが、蕎麦の出来栄えを考えるともう一歩と感じてしまいました。とはいってもちゃんと蕎麦と一緒に持ってきてくれて天ざる蕎麦として楽しむことができましたし、カレー塩もついてきたりと提供に仕方に関しては言うことありませんでした。
この日の粗挽き蕎麦も前回と同じようにおいしくいただくことができましたが、信州で衝撃的においしい蕎麦に出会ってしまったので一回目の訪問ほどの感激はありませんでしたが、レベルの高さと丁寧な打ち方は健在でした。このレベルの高さということは大師匠である柏竹やぶの伝統な技と心が生きているのだと思います。

もうひとつは温かい蕎麦を食べてみようということで、悩みに悩んで油かけ蕎麦をお願いしました。こちらのお店の温かいものは、かけに香りネギ蕎麦、たぬき、花巻などがありますが、オリジナリティさでは油かけそばに勝るものはないでしょう。店主曰く、これを出している蕎麦屋って他にはないかもしれないと言っていましたから。
この油かけ蕎麦ですが、ラーメンでお馴染みの豚の背脂をしっかりと油抜きして旨さだけを生かしたものです。見た目は丼いっぱいに広がった小豆大の背脂でくどさを予想するのですが、飲んでみると良質な豚を使っているのと丁寧な仕上げによって程よい脂の旨さと甘みを感じるとともに柚子と三つ葉のさわやかさがプラスしてかけ蕎麦の新しい一面を知ることができました。このような料理を食べてみると店主の良い意味での若さを感じることができました。

と、2回訪問したわけですが、好きな粗挽き蕎麦の完成度の高さ、料理のバラエティさとそれぞれの料理のクオリティの高さ、若いご夫婦2人のはつらつとしたサービスの良さ、店内のセンスの良さ・・・などなど不便な場所をハンディとしない魅力があると思いました。こだわりの手打ち蕎麦屋は昼だけの営業が多いだけにディナータイムもしっかりと営業しているのもいいですね。
それから、私としては蕎麦とともに各種の料理を一緒に楽しむのがこの店ではいいのかなと思っております。雄大な富士山と豊かな森、清冽な芝川の流れといった大自然の真ん中でのんびりと料理と蕎麦を愉しむのは都会の人でなくても素敵な休日になることと思います。

料理に関しては1週間前に予約するコース料理も気になりますし、メニューに載っている海老の味噌焼き、豚タンの桑焼、豚の丸煮など気になるものが目白押しです。蕎麦屋の料理というと簡単なものが多いですが、こちらでは手間暇かけたおいしそうな料理が多いので次はあれを食べようと思うんですよね。なお蕎麦屋の定番、鴨南蛮などの鴨肉に関しては気に入った鴨がまだ見つけていれないのでメニューにないということでした。

この静岡道楽手帖では粗挽き蕎麦の名店として富士市の蕎麦切りこばやし、藤枝市のながいけを紹介してきましたが、こちらのお店もそれに負けない粗挽き蕎麦を提供してくれるお店だと思います。さらにプラスアルファとして料理の魅力が加わるのですから、蕎麦好きには一度足を運んでもらいたいですね。ネットで検索すると蕎麦フリークの方々のブログや料理雑誌の蕎麦特集にはほとんど紹介されていないようですが、私の予想では徐々に多くの蕎麦好きの知る店になっていくと思います。出来てまだ2年と経っていない若いお店ですが、これからどう化けていくのか将来がおおいに楽しみでもあります。
そばの実 一閑人
富士宮市内野1551-42(田貫湖、西冨士カントリークラブ、まかいの牧場近く)
0544-54-0507 11:30〜14:00 17:00(17:30)〜21:30(詳しくはHPにて)
定休日 月曜の夜、火曜日
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Author:SUZY(メンカタ)
静岡市在住の偏屈オヤジ。食べ歩き、温泉、旅行、変わったお店探訪、自転車での散歩、読書、映画・ビデオ鑑賞が好き。
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第1回静岡ぐるめブログコンテスト最優秀賞を受賞しました。感謝、多謝です。
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